正しさが必要の無い公平な場所

横浜駅で開催中の『バンクシー展』。ようやく行けました。
街中の壁などに次つぎとメッセージ性のあるアートを描いていく手法。もちろん違法なんだけど、それがその場所に元々あったエネルギーを引き出した風景のように存在するから、感嘆する。


その中で、心に止まった言葉。
『There’s nothing more dangerous than someone who wants to make the world a better place 』
“世界をより良い場所にしたい” という人ほど危険なものはありません。
本当に、そこに落とし穴があるなと共感する。


僕も、オーガニックレストランで働いたりマクロビオティックを学んだ後は、農薬や添加物などを使わない自然なものだけが流通する世の中にしたいなと思うようになった。
それはそれで素晴らしいことなんだけれども、そうすると、そうじゃ無いものに対してすこぶる抵抗が出てくる。ジャンクフードを食べてる人を見下したり、不健康なものを作ってる生産者に怒りを感じたり。
そうやってより良いものを求める心は、それを妨げるものを排除し、自分の中に怒りの種を撒き散らして育ててしまう恐れを反面的に抱えてしまう。


健康を求めると不健康になるという皮肉。パラドックス。
それに気づかないと、正しさを盾に暴走してしまう。言動で人を傷つけても、正しい事をしているという意識の盾に守られてしまう。もちろん、そんな事で世界はより良くはならない。


これはヨガでもよくやってしまう。
「この人のここを良くしてやりたい」そんな正しい思いが、その人を自分の視線でジャッジしてしまう。自分の思う正しい世界に引きずり込んでしまう。そうならないと、ザワザワする。
そんな事を考えていたら、やっぱり変革していくのは自分の精神の在りようでしかないんだなと、腑に落ちる感じがあった。
まずは自分自身の精神に、より良い場所を作ってあげること。それはきっと誰かにとってもより良い場所になっていくはず。
正しさが必要の無い公平な場所。
頭の中のそんな思いがさっと引き出され、然るべきところに整理されていく。力強い吸引力と情熱、それをエゴでは無い普遍的な所でまとめ上げる知性を感じる作品、展示でした。
良かったな。


ニューヨークでのゲリラ的な1ヶ月の作品発表を収めた映画『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』も刺激的で釘づけになりました。
https://www.uplink.co.jp/banksydoesny/
独創的なバンクシーの活動に憧れつつ、自分はそうでしかいれない自分の場所を大切に育てていこうと思う。